主審が片手を挙げてファールを示した。その真後ろにサッカー選手が立っていた。カメラの角度が二人の体を重ね、主審の挙げた手が、ルールブックの1ページ目で禁止されているはずの動作をしているように見せている。選手の顔には軽い驚き、主審の顔には翌朝の新聞の写真欄を知らない者の自信。
主審と選手は90分間同じ芝の上を共有する。大抵、その重なりは平凡に流れる。この重なりは平凡ではなかった。ジェスチャーは教本通り。構図は純粋な錯視。誰も悪いことはしていない。それなのに月曜の朝には、ふたりが同じ一枚の中で広く共有されていた。