サッカーボールが選手の顔にフルスピードで衝突した、その100分の1秒をカメラが保存した。頬骨の周りの皮膚がへこみ、目は閉じ、髪は横向きに飛び散った。1コマ前まで完全な球体だったボールは、頭蓋骨に押しつけられて楕円に変形している。
ヘディングは熟練を要する技術だ。顔面でのボール処理は、その熟練の範囲外にある。この選手は空中戦に飛び込み、迎え入れる準備をしていなかった顔面の一角がボールとぶつかった。近くで見ていた赤いユニフォームの相手選手の表情は、同情と「そのボールを蹴ったのは自分だ」という静かな満足のちょうど中間にあった。